おもいでエマノン

 エマノンとはNO NAMEを逆さから読んだもので、この本の主人公の名前である。この名前のつけかたからも分かるようにとても酒落た本で、七つの短編からなっているのだが、その主人公はどれも、同じひとりのエマノンでありながら、別の時代、別の世代を生きついでいる。
 せっかくおもしろいSFなので、ここにはストーリーは書かないことにするが、一九六七年から始まって、一九七三年、一九八八年と、少しずつ作品の舞台が時代の流れを追って二十一世紀まで、どの物語をとっても永遠の記憶をもってしまったエマノンの悲しみが、ロマンティックに描かれている。
 SF好きの少年にも、夢見がちの少女にも共に楽しめる一冊である。

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