ぎっくり腰で働けなくなった父親の代わりに家の生計を担っている少年李少君は、市場で瀬戸物を売っているが、気が弱いばっかりにいじめっ子達に仕事の邪魔をされる。
そんなある日、薄汚い老人が落とした黄金入りの革袋を拾い、その老人が仙人であると信じて弟子入りを決意するのだが......。
後書の「仙人に宛てた手紙」の中で著者は、「近ごろとんと噂を聞かなくなった仙人の話を書きたかった」と語っているが、この手紙がいい。
この物語の中の「努力すれば報われる」という道徳臭が、この手紙と、本文の軽やかな文体のおかげで和らげられ、楽しい読み物になっている。
太田大八の絵も洒脱で、特に虎が素晴しい。