ドイツ生まれの蒸気機関車クラウス17号が、日本で、一世紀近くも走り続けたという、ノンフィクション物語。
事実だけを淡々と述べているにすぎないのに、そこには、人間の一生を見るようなストーリーがある。
地味な絵本なのに読む人をひきつけずにはおかないのは蒸気機関車自体の魅力もあるのだろうか。
ふじさわともいちのこの絵は、デッサンにところどころ色がさしてあるだけなのだが主人公であるクラウスの力強さや悲しみが、見る人の心に伝わってくる。
機関車の好きな子ども達にはもちろん、大人にとっても懐かしく、たびたび取り出しては読み返したくなる本である。