文字で綴った恐竜絵本、とでも呼びたい読み物である。地球の歴史なんぞには興味のない母親族にはたいくつな本らしいが、この七つの短編にはパノラマのような楽しさがある。
何十億年も前の生物、あの恐竜の先祖達に遺伝的な影響を与えたかもしれないウラン鉱床の話、鳥類の進化、魚類の進化、あるいは種の滅亡。
地球の歴史の中での生物の衰退は、その原因が生物学的であれ生態学的であれ、生物としての人間の衰退に、あてはめてみずにはいられない。
「かれらの子孫ホモ・サピエンスは(略)他の多くの動物を絶滅へと追いやり、地球という惑星の絶対的な支配者としておどりでた」との一節など、とかく人間本位に考えがちな我々を反省させられる。