日本に、きつねという頭の良い動物がいると聞いた中国の虎がわざわざ日本にやって来るが、きつねのとんちに、まんまとひっかかって、すごすごと中国に帰ってゆく。
何回競争しても虎が負けるのはなぜかという謎を、読者に考えさせながら話を進めてきつねの手管を知って悔しくてたまらなくなった虎は、自分によく似た、猫、という生き物を作って日本に住まわせることにした。それで、今でも日本に猫がいるのです、という、いわれ話にもなっている。
村上幸一の絵も暖かく、幼い読者達にありがちな強がりを、さりげなくたしなめているようである。