表題になっている「三丁目が戦争です」は、シンスケ君達がいつも遊んでいる公園に、隣の住宅地の月ちゃん達がやってきて男の子を追い出してしまうところから始まる。なにしろ女の子は力もあるし、勉強もできる。とても強いから、月ちゃん達が来ると男の子達は皆、逃げてしまうのだ。でもシンスケ君は思う。「公園は皆のものだ。女の子だけのものじゃない。」そこでたったひとりで月ちゃんと対決しに行くのだが......。
シンスケ君の目を通して語られるこのお話、楽しく読める愉快な一編なのだが、実は大人の身勝手さや、思いやりのなさなど、ささいなことがきっかけで、戦争が始まることもあるのだと、若い読者に訴えている。
この本にはほかに小説、戯曲、エッセイが入っているが、この筒井康隆は少年向きの良い作品をたくさん書いている作家である。