ラッコのぼのは、ひとりで海を見ているうちに、海はこんなに広いのに世界に占める自分の割合が、あまりに小さくてかわいそうだ、と思い始める。泣きながら歩いてゆくと、カニもシマリスもぼのより小さい。みんなかわいそうだと泣いているとスナドリネコに出会い、「かわいそうだというのは好きだってことだろう」と言われてショックを受ける。結局、世界中みんなかわいそうなのだから、かわいそうじゃないのがかわいそうなのだ、と気づく。
内容は哲学的だが、子どもにはただおもしろく、大人には心安らぐほのぼの絵本である。
ただし表題でも分かるように、感覚的なことばの使い方をしているので、同じ著者の他の作品までは薦めない。