鏡のなかのねこ

 この本は、一種のタイムトラベルの物語である。
 ニューヨークの富裕な家庭のひとりっ子イリンは、これといった欠点がないのに、学校ではいじめられっ子。家でも自分への愛情の薄い母親の態度に思い悩む毎日を送っている。ところがある日、頭を石にぶつけて気を失ったイリンは、古代エジプトの時代で、「イルン」という名前で暮らす少女として目覚める。そしてここでもまた、イリンと同じように母親や友達のことで悩むのだった。
 いじめは日本だけの問題ではなく、また経済的に裕福であっても子どもが幸せとは限らないのである。

関連作品: