何かとても薄気味悪い感じで始まるこの物語は、十五、六世紀にヨーロッパで実際に行われていた魔女裁判の話である。自分の母親が偽りの告白によって火あぶりにされた少年エスベンの心境を思うだけで胸が痛くなるが、世のはみだし者のハンスとの出会いでホッとする。が、それも束の間......。
こんな残酷なことがほんとうに行われたとは信じたくないが、人権尊重が重視されているはずの今でさえ、人間が弱さを持つかぎり世界のどこかで同じようなことが行われているのではないかと考えさせられる。
月刊誌『海外子女教育』の連載「子どもの本棚」を集積したものです。他に、同誌に掲載された投稿、取材原稿、特集記事なども、挿入されています。「子どもの本棚」は、海外に住む日本の子ども達のために、特に注意して選ばれた児童書の推薦欄です。これから海外に赴任する方、海外の子どもに本を送る立場にある方に、読んでいだだけたらお役に立てると思います。
何かとても薄気味悪い感じで始まるこの物語は、十五、六世紀にヨーロッパで実際に行われていた魔女裁判の話である。自分の母親が偽りの告白によって火あぶりにされた少年エスベンの心境を思うだけで胸が痛くなるが、世のはみだし者のハンスとの出会いでホッとする。が、それも束の間......。
こんな残酷なことがほんとうに行われたとは信じたくないが、人権尊重が重視されているはずの今でさえ、人間が弱さを持つかぎり世界のどこかで同じようなことが行われているのではないかと考えさせられる。