これは、交通事故で両親を失った少年サイモンが、移り住んだウォンガディラという田舎で体験する自然との不思議な出合いの物語である。サイモンは、母親のまたいとこのチャリー、イディ兄妹との静かな生活を始めることになるのだが、近くの沼には、思いもかけずポトクーロックという妖精が住んでいた。木にはツーロングという精が、また岩にはたくさんのナイオル達。そしてこのウォンガディラに、はるか遠くの地からやってきた岩ナルガン。
読み進むうちに現実から引き離され、ぐんぐんと夢の世界に釣り込まれてしまう。小学校高学年から大人まで、読む人の心に深く残るファンタジーの傑作である。