サンタクロースと言っても、これはクリスマスの本ではない。かつてサンタクロースを信じていた子ども、そして信じたからこそ存在したサンタクロースの部屋。目に見えないものを信じることの大切さをサンタクロースの部屋に象徴して、この本は語っている。その意味ではこの本は大人がクリスマスシーズンに読むべき本で、子どもへのプレゼント用の本を選ぶ前に、父親と母親にじっくり読んでおいてほしい一冊である。
外国の母親が子どもに本から学び取ってほしいと願うのは、まずユーモアのセンスであると著者は言う。既成観念にとらわれず、異なった観点からものごとをとらえる頭の柔軟さや、少々痛めつけられても跳ね返す強靭な精神、自分の愚かさも含めて人間性を暖かく包む豊かなユーモアのセンスこそ、今の日本の子どもに一番必要なものかもしれない。