戦下の食糧難の日本で、動物園の象が死んでいった。芸をすれば餌がもらえるものと、得意な芸を繰り返し披露しながら飢え死にした象の物語は、何回読み返しても涙ぐまずにはいられない。
戦争の悲惨さを訴え、叫び続ける反戦文学は数多いが、時としてその叫びが大きすぎて、子どもの心を素通りしてしまうことがある。ところが、この小さなエピソードは、それが小さくて身近であるだけに、子どもの目にもしっかりととらえられ、戦争の恐ろしさが心に刻み付けられる。
月刊誌『海外子女教育』の連載「子どもの本棚」を集積したものです。他に、同誌に掲載された投稿、取材原稿、特集記事なども、挿入されています。「子どもの本棚」は、海外に住む日本の子ども達のために、特に注意して選ばれた児童書の推薦欄です。これから海外に赴任する方、海外の子どもに本を送る立場にある方に、読んでいだだけたらお役に立てると思います。
戦下の食糧難の日本で、動物園の象が死んでいった。芸をすれば餌がもらえるものと、得意な芸を繰り返し披露しながら飢え死にした象の物語は、何回読み返しても涙ぐまずにはいられない。
戦争の悲惨さを訴え、叫び続ける反戦文学は数多いが、時としてその叫びが大きすぎて、子どもの心を素通りしてしまうことがある。ところが、この小さなエピソードは、それが小さくて身近であるだけに、子どもの目にもしっかりととらえられ、戦争の恐ろしさが心に刻み付けられる。