これは小・中学生から大学生まで、年齢に応じてさまざまな形で演じられそうな戯曲である。
作物の不作を恐れた男が、毎年の豊作を条件に、地の精ゴッゴローリに生まれてくる娘をやると約束してしまう。美しく成長して恋人もできた娘を見ると胸が痛むのだが......というありふれた設定でありながら、意外な展開を見せる。古くから伝わるドイツの民話である。
日本語訳のことばも平易で詩のようなセリフが多いので、日本語習得を兼ねて、海外の子ども達に上演させるのにも最適であろう。また朝倉摂の描くキャラクター画にもひかれる。
なお作者のミヒャエル・エンデは、今年八月に行われる国際児童図書評議会(IBBY)東京大会に、講演者として来日が予定されている。