少年クラバートは、不思議な夢に誘われて、荒地の水車場の見習いになる。食うや食わずの浮浪児暮らしよりはまし、とつらい仕事にも堪え、やがて魔法を習うようになる。
次第に親方の秘密を知り、逃げ出そうとするが、それには愛し合う少女の命がけの協力がなければできない。
ドイツ伝説に取り組み、十一年の年月を掛けて仕上げた作品で、その気分転換に書いたのが、あの『大どろぼうホッツェンプロッツ』だという。
――仕事では厳しい親方だが、魔法を教えるときはしからない。覚えるのは自分のためだから――という辺りに、教師だったプロイスラーの願いが込められている。