クリスマスシーズンになると、欧米では必ず、バレエ"くるみわり人形"が開幕になる。が、そのストーリーとなると、プログラムに振り付け師マリウス・プチパの作品としての解説があるだけで、ホフマン原作の物語は粗筋しか分からない。
そこでセンダックが、アメリカのパシフィック・ノースウェスト・バレエ団のために、プチパの振り付けから離れ、ホフマンとチャイコフスキーの原点に戻って、新しいバレエのために作り直したのがこの本である。
バレエの舞台装置と衣装デザインをもとにしたこの本は、絵も重厚で画集といった風格もあるが、物語の方も「なるほど、これがくるみわり人形か」と思うほど、読みごたえがある。
全体が十四章に分かれており、毎晩一章ずつ読めば二週間で読み終わる。クリスマス休暇の読み聞かせに最適。