シェイクスピア物語

 ラム姉弟の同名の書の訳ではなく、このほどシェイクスピア作品の全口語訳を完了した著者自身の筆によるものである。ラムの作品のように、子ども向きに書き直してあるのではなく、原作のセリフを活かして凝縮してあるので、大人にも読みごたえがあり、子どもにもおもしろい。
 四大悲劇に"夏の夜の夢"などを加えた九編が収録されており、この本を読んでから芝居を見れば、多少の英語力の不足は、俳優が演技で補ってくれることだろう。
 巻末にはシェイクスピアの劇作品の一覧表を添えた解説もあり、英国在住の人ならずとも、原作を読んでみたい気分にさせられる。"教養の書"としてではなく、通俗作家シェイクスピアの舞台を見る心持ちで読むことができる。

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