怖くないおばけの話、と言っても、近ごろはやりのユーモアおばけではない。
六晩続けて一文ずつ飴を買いにくる若い女の人が、七日目の晩、お金がないから、と片袖をちぎって飴にかえて帰っていった。不審に思った飴屋が後をつけると、その女の人はお墓の中に消え、中から赤ん坊の泣き声が聞こえる。和尚さんと飴屋がお墓を開けてみると......。
死んでからも赤ん坊を育てようとする若い母親の深い愛情が、怖いばかりのゆうれい話を一味変えたものにしている。若山憲の絵も、怖さと温かさを共に描き出している。
月刊誌『海外子女教育』の連載「子どもの本棚」を集積したものです。他に、同誌に掲載された投稿、取材原稿、特集記事なども、挿入されています。「子どもの本棚」は、海外に住む日本の子ども達のために、特に注意して選ばれた児童書の推薦欄です。これから海外に赴任する方、海外の子どもに本を送る立場にある方に、読んでいだだけたらお役に立てると思います。
怖くないおばけの話、と言っても、近ごろはやりのユーモアおばけではない。
六晩続けて一文ずつ飴を買いにくる若い女の人が、七日目の晩、お金がないから、と片袖をちぎって飴にかえて帰っていった。不審に思った飴屋が後をつけると、その女の人はお墓の中に消え、中から赤ん坊の泣き声が聞こえる。和尚さんと飴屋がお墓を開けてみると......。
死んでからも赤ん坊を育てようとする若い母親の深い愛情が、怖いばかりのゆうれい話を一味変えたものにしている。若山憲の絵も、怖さと温かさを共に描き出している。