フランシスがどういう種類のくまなのかはひとことも書いていないが、絵を良く見る子にはすぐ分かる。フランシスのお父さんが『あなぐましんぶん』を読んでいるからだ。
天井のシミや風に動くカーテンが怖くて、すぐベットから抜け出してくるフランシスに、お父さんもお母さんも辛抱強く応対する。掛けてある部屋着が恐ろしい大男に見えるフランシスに「つかまえにきたとはかぎらないよ。なんのようだかきいてごらん」というお父さん、「おおおとこさん、なんのごよう?」と聞いてみるフランシス。なんの変哲もないあなぐまの子の後姿なのに、ガ―ス・ウィリアムズが描くと手を差し伸べたくなる愛らしさがある。