アメリカから帰国した少女ジュンは、のびのびとした明るい女の子。早く日本の学校に適応しようと気をつかうのだが、アメリカと日本の考え方の相違から裏目に出てしまう。結局は理解しあえて、めでたしめでたしになるのだが、その頃には父親の次の赴任先がきまってしまう、と必ずしも甘くない現実をちょっぴり覗かせている。
帰国児によくありそうな日本への適応過程を、涙と笑いでうまくまとめている。親子が共に頼る担任が、案外分かってくれず、かえって子ども同士が努力して理解しあう。
物語のジュンは日本人の友人に同化しようと努力するが、実際には自己を持ち続け、同化したがらぬ子も多い。それはそれで強い生き方なのだと思う。帰国後の経験の先どりなどと構えずに、サラッと一読したい一冊である。