幼稚園に通っているてつたくんは、弟のみつやくんを連れて森に探検に行き、大きなたがもを見つける。翌日、また森に行くと、そのたまごから「へなそうる」という怪獣の赤ちゃんが生まれていて、ふたりは大喜び。ところが、へなそうるは、「ぼか、きのうのたがもじゃない」と言い張ってきかない。
舌たらずのみつやくんと、お兄さんぶっているてつたくんと、まだ何も知らないへなそうるとの三者三様の言葉のやりとりと繰り返しとが、読者を知らず知らずのうちに、へなそうるの世界に誘い込んでしまう。
背中にとげはあるけれど、さわってみるとゴムのように柔らかで、滑ると、おしりの下がすとすとっとするだけのかわいい怪獣へなそうると子どもとの触れ合いが、少しも不自然でない。読み終わるまでには、へなそうることばが移ってしまって、「ぼか、おにぎりまだ三つしか食べたことないな」などと言いたくなる。